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現金を引き出すことを英語で「withdrawal」というが、今回はATM自体が「withdrawal/撤退」になるかもしれないというお話。

ATMが銀行などの外壁に設置されていることが多いことから、英国では「hole-in-the-wall」すなわち「壁の穴」という愛称で親しまれてきたキャッシュマシーンだが、ここ数年、英国人の利用頻度が激減しているという。

英国における最近の調査によると、平均的な成人がATMを利用する回数はわずか1年で15回であることが明らかになった。2025年にATMで引き出しが行われたのは8億3,200万件で、これは2024年と比べると約9%少ないという。デジタル決済手段の利用が引き続き増加しているのがその原因であることは疑いようもない。

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ATMデータが初めて記録された2019年以降、もっとも急速に現金を放棄しているのはロンドン市民ということだ。2025年、ロンドンの平均的な消費者は1人あたり1年で£1,458をATMから引き出したが、2019年当時と比べ43%の減少となっている。

イングランド南西部では1人当たりの引き出し額はわずか£974で、初めて£1,000を下回った。英国全体では、2025年の平均引き出し額は£1,352で、前年と比較して5%減少している。イングランドでもっとも現金を引き出しているのは北東部地域の£1,604(同32%減)ということだ。

北アイルランドは依然として現金利用者が多く、消費者の平均引き出し額は年間£2,249。しかし、それでも2019年当時と比べると23%の減少している。一方、ウェールズの引き出し額は年間£1,355(32%減)、スコットランドの引き出し額はパンデミック以前と比べて40%減の£1,550ということだ。

この調査を実施したのは英国の主要ATMネットワークであるLink社で、同社によると、英国における現金の引き落とし方法としては依然としてATMを使うケースが大半を占めており、銀行や郵便局でのキャッシュバックや窓口取引を上回っている。


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他にも、同調査で判明したことは下記のとおり:

  • 成人の半数弱(48%)が財布を持ち歩いており、非接触型決済を好む傾向がある
  • 61%が決済の失敗やシステム障害を経験し、購入を断念するか、他人に支払いを頼らざるを得なかった
  • 51%が過去1週間に現金を使用したと回答

Link社のATMのみが対象の結果ではあるが、2025年末のATM台数の減少は前年と比べてわずか5%だったそう。同社の戦略ディレクターによれば、現金の利用自体は減少しているものの、現金は依然として何百万人もの人々にとって不可欠なものということだ。

人と人との接触を極力避けないとならなかったコロナ禍まっただ中だった当時、誰が触ったのかもわからない現金の扱いには誰もが神経質になっていた。やがて少しずつ外出できるようになると、お気に入りだったレストランやカフェが「カード決済のみ」に変わっていたという経験をした方も多いのではないだろうか。公共交通機関も含め、現金を使いたくても使えないという現実もある。


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参考ウェブサイト:Mail Online Home Affairs