歴史の古いイギリスは、おかしな風習や伝統行事に事欠かない。当ウェブサイトでも以前、「イギリスのちょっと変わった伝統行事トップ8」についてお伝えしたが、今回はイギリス人でも若い世代は知らないといわれる、古代から続く主な伝統行事をご紹介する。


Hurling the Silver Ball/ハーリング・ザ・シルバー・ボール


コーンウォールの最も古い伝統の1つである「ハーリング・ザ・シルバー・ボール」。ゲームに使うボールはリンゴの木で出来ており、銀色に塗装されている。

「カントリー・チーム」と「タウン・チーム」の2チームに分かれた参加者たちが、ボールをキープするためにラフ・アンド・タンブル、つまり、乱闘を繰り広げるのだという。動画を見ると、戦いは一般道路で行われているため酔っ払いの喧嘩にしか見えないこともない…。


Jack in the Green/ジャック・イン・ザ・グリーン

メーデーの日に、樹木の葉で飾られた木製の枠を身に着けたパフォーマーたちが行進する「ジャック・イン・ザ・グリーン」。

主役のキャラクターは17世紀あたりの伝統に倣っているといわれ、メーデーを祝う煙突掃除人やミルクメイド(搾乳牛係の女性)が仮装をして踊ったのが始まりという説や、そのルーツはペイガニズム(伝統宗教)にあるという歴史研究家もおり、はっきりとはわかっていない。

行進には伝統的なモリスダンス(豊穣祈願の仮装ダンス)が伴い、見物客もフェスティバルの一環として自分たちで用意した花の冠を着用する。


Up Helly Aa/アップ・へリー・アー


「アップ・ヘリー・アー」と奇妙な名称を持つこのフェスティバルは、1月の最終火曜日にシェットランドの首都ラーウィックで開催される。シェットランド諸島は地理的にスコットランド本島とノルウェーの間に位置することから、この祭りもヴァイキングの火祭りが元となっている。

ヴァイキングを模したコスチュームを身につけ、点火された松明を持つ1,000人ほどのシェットランド人たちが長い行列をなす様は圧巻だ。行進ルートの終点に運ばれたガレー船が燃焼すると祭りは最高潮に達する。

伝統的に、行列に参加できるのは男性のみだったが、1980年代から続いたキャンペーンにより、2024年からは女性の参加も認められるようになった。現在の行列参加の条件は、「シェットランドに5年以上住んでいること」だそうだ。


Worm Charming Championships/ワーム・チャーミング・チャンピオンシップ


1980年にチェシャーのウィラストンの校庭で始まった、毎年恒例「ワーム・チャーミング・チャンピオンシップ」。一辺およそ90センチの正方形に区切られた地面に振動を与えることで、どれだけのミミズを引き寄せることができるかを競う。

ルールは細かく、全部で18もあるという。例えば、地面を掘るのは規則違反。土に刺して揺らすクワ状のものを「スノッブ(木製の杭の一種)」で叩いて音を鳴らし、ミミズを地面に浮上させる。スノッブの代わりに金管楽器を使う者もいる。

2009年のチャンピオンシップで優勝した、当時10歳のソフィー・スミスちゃんが集めた567匹の記録は今も破られていない。

なお、捕まったすべてのミミズは、鳥にさらわれないようその日のうちに土に戻されるということなので、ご安心を。あとは、ミミズの耳が遠いことを祈ろう。


イギリス人の知らないイギリスの伝統Top 20
(*印の付いた伝統的行事の詳細はこちらから)

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