ロンドン地下鉄における4Gおよび5G高速モバイル通信網の展開は中間段階に達し、10億ポンド規模の同プロジェクトは2026年末までに完了する予定だという(合計272駅の地下鉄網のうち、地下にある駅にのみ適用される)。

2026年1月現在、地下鉄121駅のうち63駅とほとんどのトンネル内で高速接続が利用可能となっており、乗車中やプラットフォームでメッセージの送信や動画のストリーミング、さらには通話ができるスポットが増えている。

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地下を走る全駅とトンネル内で4Gに接続できるようになる最初の路線はノーザン線(Northern Line)とメトロポリタン線(Metropolitan Line)で、両路線の「大部分」は「夏の終わり」までに完了する予定だというが、「大部分」も「夏の終わり」もざっくりとしていて、人によって捉え方も違ってきそうだ。

2020年のジュビリー線(Jubilee Line)延長工事における試験的な計画から始まった4Gの展開は、当初、2024年末の完了を目指していた。しかし、「地下鉄駅構内で無線機器を設置する場所を見つけることが困難」「列車が運行していない限られた時間(01:00〜04:30)内で作業をしなければならない」などといった、イギリスらしい後出しの問題がその進捗を妨げてきた。

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無線機設置場所は、100年以上も未完のままの駅や使われなくなった職員用福利厚生室が活用された。福利厚生施設は部屋の状態が悪く、不用品撤去と消毒が必要だったようだ。
(ちなみに未完成の駅とはノーザン線のゴルダースグリーン駅(Golders Green)とハムステッド駅(Hampstead)の間にある「ノースエンド(North End)」駅。工事着工前からすでにこの名が付いていたが、歴史のあるパブ近くの地下にあるため、そのパブの名前そのままの「ブルアンドブッシュ(Bull and Bush)」駅という愛称が、駅として存在していない現在でも使われている。)

10億ポンドを投じて地下鉄とエリザベス線の4G接続を請け負ったのは、テクノロジー企業のボールディン・ネットワークス(旧BAIコミュニケーションズ)。ロンドン交通局(Transport for London/TfL)の費用負担はなく、ユーザが地下鉄内でもネットワークにアクセスできるよう、英国の携帯電話会社3社(EE、Virgin Media O2、Vodafone Three)がボールディン社に料金を支払っている。

また、システムを接続するため首都全域に9つの「基地局 “ホテル”」が建設された他、内務省(Home Office)にもシステムへのアクセスが許可され、緊急サービスが利用できるようになっている。キングスクロス(Kings Cross)、ウォータールー(Waterloo)、ロンドンブリッジ(London Bridge)、オールドストリート(Old Street)、ザ・シャード(The Shard)、ハイドパークコーナー(Hyde Park)など、人通りの多いエリアの照明柱にも送信機が設置された。緊急サービスネットワークが完全に稼働すれば、救急隊員は人命救助に必要なデータ、画像、情報に即座にアクセスできるようになる。

ボルディン社の最高執行責任者は、4G接続の最大のメリットは地下での公共の安全だと述べた。非常事態が発生しても、地上に出られるまで待つことなく、すぐに情報のやり取りができる。帰宅途中の地下鉄の駅で「カエルコール」を入られるようになることよりも、ずっと大きな意義がありそうだ。

ちなみにボルディン社は、ニューヨーク、サンフランシスコ、ローマの地下鉄システムでも同様のプロジェクトを行なった。

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ロンドン地下鉄全線における4Gおよび5Gのモバイルカバレッジはすでに実現しつつある。しかし、今現在すでに電車内やプラットフォームで他人のモバイル機器から出される騒音に悩まされている人たちにとっては、いいことばかりではない。TfLでは、地下鉄内で動画を視聴したり音楽を聴いたりする乗客に対し、他の乗客の迷惑にならないようヘッドホンの着用を推奨している。

ヘッドホンをしていても音が漏れてヒンシュクを買うことがあるのでご注意を!
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参照記事ウェブサイト:The Standard