島国イギリスとヨーロッパ大陸を結ぶユーロスター。故エリザベス女王陛下とフランスのフランソワ・ミッテラン大統領が、ロンドンとパリで盛大な式典を開き、英仏海峡トンネルを正式に開通させたのは1994年のことだ。現在も、イギリスとフランス間を運行できる唯一の旅客列車として君臨している。

2025年10月、「ユーロスター・セレスティア(Eurostar Celestia)」と名付けられた2階建て列車が今後6年以内に運行を開始するという計画が発表された。これにはおよそ20億ユーロにもおよぶ巨額な投資がなされ、運行本数の増加と車両の大型化により、年間乗客数は3割増になることが期待されている。

もちろん、これを実現するためには、車両本体のみをアップデートすれば済むことではなく、車庫の改修、必要となるスペースや設備も確保せねばならない。


2階建てユーロスターの導入はいつに?

ヨーロッパの国々ではよく見られるダブルデッカー列車 Photo by Ivonnechy

新型列車は、ユーロスター開業当初から車両を供給してきたアルストム・グループが受注することになるようだ。特注製造となるため、製造・運行開始までにはかなりの時間がかかると見られている。順調に進めば・・・の話だが、2031年5月の車両デビューを目指している。


これまで英仏海峡トンネルに2階建て列車が走ったことは?

バスなら2階建てで有名なイギリスだが… Image by Alfred Derks from Pixabay

英仏海峡トンネルがどうのという以前に、イギリス国内の鉄道に2階建て列車を導入しようという動きはこれまでほとんどなかった。2階建てバスで有名な国であることを考えると、少し不思議ではある。

実際には、通勤客の増加に対応するため、1940年代に試験的に導入されたことはあったようだ。しかし、通常の列車の高さを変えずに2段にしただけだったため、ただぎゅうぎゅうになるだけで、非常に窮屈で不快だったことからまもなく廃棄になったという。そうなることが想像できなかったのが面白い。


 2階建て列車は何本保有する予定か?

日本でも増えてきた2階建て列車「京阪特急ダブルデッカー」

まずは30本を発注しており、必要に応じてさらに20本を追加するオプションがあるという。2031年には最初の6本が運行を開始し、以後数年間で段階的に増備が進められる予定だ。


2階建て列車にモデルはあるのか?

新型列車は特注となるため、アルストム社のAvelia Horizo​​nプラットフォームをベースとしたまったく新しいモデルとなる。概ね、ヨーロッパ大陸で広く使用されているTGV Duplexシリーズと類似しており、ユーロスターが運行する5カ国すべてで相互運用が可能となる。さらに、新たにジュネーブとフランクフルトへの路線も含まれると発表された。

セレスティアクラスは、既存のユーロスターe320系車両17本に追加される予定だが、新型列車の導入に伴い、一部の旧型車両は引退となる可能性がある。


2階建て列車の大きさは?

200メートルの車両1両あたり540席となる予定だ。現在と同じように2両連結で運行した場合、総定員は1,080人となり、現在の750人からおよそ45%増加となる。

世界には乗客が自主的に1階建て列車を2階建てにする場合も? Photo-by-Rayhan-Ahme

参考ウェブサイト:TimeOut News