概要

従業員の募集と選考については、一つの法律だけが全てを定めているわけではなく、複数の法律が影響を与えています。採用や解雇について留意していく点がいくつかあります。

従業員の雇用

英国は差別行為に対して非常に厳しい国です。採用・雇用時に以下の点で差別をすることは違法になります:
年齢・性別・人種・宗教・妊娠の有無・配偶者の有無・性的指向・障害

雇用主は、求人申し込みを行う前に健康状態や障害について応募者に質問することも禁止されています。採用候補者は、差別的に扱われていることが証明できる場合、雇用主(会社)を訴えることができますので、充分に注意が必要です。

従業員の種類

従業員には以下のような種類があります。

・正社員(permanent employees):通常の従業員、無期限の雇用契約に基づく
・パートタイマー(part-time employees):無期限雇用、規定のフルタイム以下の時間勤務
・出向者(secondees):出向元企業との雇用契約を維持したまま、出向先企業での任務に従事
・派遣社員(agency workers):派遣会社と契約し、派遣先の企業にて任務に従事
・期間限定契約社員(fixed-term contract employees):特定業務が完了するまでの期間限定雇用契約に基づく
・ゼロ時間契約の従業員(zero hour contract employees):雇用主が労働時間数を保証しない契約に基づく

試用期間

試用期間/プロベーション期間(probation period)は、一般的には3~6ヵ月です。職務に適応できるかを確認する期間となり、適さないと判断した場合は、1週間程度の通知期間で雇用を取り消すことができます。同様に従業員の側からも退職することができます。

雇用契約

雇用開始に当たっては、以下の項目を書面にて確認する必要があります:
・雇用主の氏名
・従業員の氏名
・役職(または職務概要)
・雇用開始日
・給与
・就業時間
・年次休暇日数
・就業場所
・試用期間
・福利厚生

以下は任意の項目になります:
・病気休暇日数
・年金制度
・雇用終了時の通知期間(notice period)
・懲戒手続き
・問題解決手続き(スタッフハンドブック上の明示などでも可)

最低賃金

2025年度(2025年4月1日以降)の全国最低賃金/時給(National Minimum Wage Rates)は次の通りです:
全国最低賃金(21歳以上) £12.21
18歳~20歳 £10.00
16歳・17歳 £7.55

年次休暇

法律により各従業員に与える必要のある年次休暇の日数は、年5.6週になり、これは28日に相当します(バンクホリデーを含む)。雇用主の許可がなければ、ある休暇年度から次の休暇年度に年次休暇を繰り越すことはできません。また、従業員が未消化の年次休暇の代わりに金銭の支払いを受けることもできません。ただし、雇用が終了する場合はこの限りではありません。

出産休暇

母親には原則、52週の出産休暇(うち39週は有給で、もっとも早くて出産予定日の11週間前から適用可能)、および出産日から適用される出産後2週間の強制的出産休暇(compulsory maternity leave)があります。

解雇

英国で合法的に従業員を解雇するには、正当な理由があることを確認する必要があります。不当な手続きで進めたり、不適切な理由で解雇すると、訴えられるリスクがありますので、充分な注意を払ってステップを踏む必要があります。

(協力:JAC Recruitment