2025/26シーズンのプレミアリーグは、選手に対する公平性向上、試合運営の円滑化を目的としたルール改定を行った。今回はそのルール変更について解説したい。

1.GKの「8秒ルール」

従来あまり運用されていなかった「6秒ルール」に代わり、8秒以内にボールを放さなかった場合、相手にコーナーキックが与えられるという新ルールが導入される。
従来はゴールキーパーが長時間ボールを保持しても、審判が笛を吹くケースは稀で、その結果、GKが意図的に時間を稼ぎ、ゲームが停滞する場面が多発していた。
今回8秒という明確な基準を設けることで、GKは素早くプレーを再開せざるを得なくなり、攻守の切り替えがスムーズになり、試合全体のテンポが上がることが期待される。

2.キャプテンのみが主審に接近可能

今シーズンから、主審とコミュニケーションできるのはキャプテンのみとなり、それ以外の選手が主審に近づくとイエローカードがかされる可能性がある。もしGKはキャプテンの場合は、主審とのやり取りを任せる代行選手の設定が可能。
このルールは審判への抗議過多を抑止し、試合の流れを保つ狙い。

3.ドロップボール再開の明確化

従来はボールが偶発的に審判や外部要因に触れて止まった場合、ドロップボールでの再開が宣言されても、どちらのチームにボールを返すかが不明確で、不要な小競り合いや不満が生じていた。
新ルールでは、プレーが止まった状況やボール保持者を基準に、再開時は必ず「最後にボールを保持していたチーム」にドロップされる。これは不公平感や時間の浪費を減らし、スムーズで公正な試合運営を実現する狙い。

4.半自動オフサイド技術の本格導入

昨季後半からテスト導入されていた半自動オフサイドが今シーズンからフル導入される。これにより判定精度の向上とスピーディな審判判断を強化を目指す。

5.ダブルタッチPKの明確化

25/26シーズンからの新ルールで注目されるのが、ペナルティキックにおける「ダブルタッチ」の明確化だ。従来、キッカーが蹴った直後に滑ってしまい、意図せず同時にもう一度ボールに触れるなどのケースでは判定が曖昧になりがちであったが、新たな規定では「キッカーが連続して2度ボールに触れた場合」、もしそのシュートが直接ゴールに入った場合はやり直しとなる。
今回の明確化は、特にチャンピオンズリーグでのアルバレス選手の事例(偶発的なダブルタッチで得点が取り消された)がきっかけとなっている。

6.ピッチ外の関係者による接触

プレー中、選手や交代要員・コーチらがピッチ外でボールに触れた場合、意図せずとも相手ボールの間接FKとなる。

7.オフサイド判定基準の変更

GKがボールをスローした際、最後にGKが接触したポイントをオフサイド判定の基準とすることが公式に定められた。
これは特に“スコップパス”(足裏でボールを持ち上げる技術)のような曖昧なケースを排除し、公平な判定を促すための変更。

まとめ

2025/26シーズンのプレミアリーグは、VARオフサイド判定の自動化、遅延行為への厳格な規制等がメインのルール変更となり、これらはすべて、選手にとっての安心感、観客にとっての納得感、リーグ全体にとっての競技性向上を目的とした改正となる。
とはいえ、最終的には人の目でのジャッジとなるため、全自動化されない限り納得いく結果は出ない可能性はあるが、プレミアリーグが世界最高峰であり続けるための進化であることを願うばかりである。